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EN-EL15の航続距離:一眼レフとミラーレスで実際にどれだけ違うか

結論から言うと、同じEN-EL15でも、D850のような一眼レフに入れれば公式のCIPA基準で千枚以上になるのに対し、Z7 IIやZ6 IIでは300〜400枚程度にとどまります。差は電池が劣化したからではなく、ファインダーの方式が変わったためです。一眼レフは撮影時にCMOSと画面へ通電しなくて済みますが、ミラーレスはEVFとLCDの構図表示のためセンサーが働き続け、ボディ内手ブレ補正も電力を消費し続けます。ここが分かると、予備電池の考え方は「何本か余分に買う」ほど単純ではなくなります。

CIPA値が傾向しか示せない理由

CIPAの試験条件はかなり控えめです。23℃、ストロボオフ、30秒ごとに1枚、2枚ごとに1回再生、ズームレンズは決まった間隔で繰り出す、という流れです。この手順は一眼レフに有利に働きます。待ち時間が長く、待っている間はほとんど電力を使わないからです。ミラーレスには不利でありながら、その不利も実態を反映しきれていません。実際の撮影ではEVFを長時間点け、こまめに再生し、Bluetoothで画像を転送し続けることが多く、消費電力は試験条件を大きく上回ります。

したがって現実的な見方はこうです。CIPAが示す相対関係は信頼できますが、絶対値は割り引くべきです。下表は経験にもとづく幅で、予備電池の本数を見積もるためのものであり、精密な予測ではありません。

ボディの種類 代表機種 CIPA 参考範囲 街撮りの実測範囲 動画シーン
フルサイズ一眼レフ D850、D780、D500(DX) 約 1200-2200 枚 約 800-1500 枚 長時間録画は主用途ではない
APS-C 一眼レフ D7500、D7200 約 900-1200 枚 約 600-1000 枚 録画時間の制約を受ける
フルサイズミラーレス Z6 II、Z7 II、Z8 約 300-450 枚 約 250-500 枚 約 1-2 時間の連続録画

表の最後の行が要点です。ミラーレスの弱点は静止画ではなく動画にあります。16WhのEN-EL15cで4Kの連続録画を支えると、通常は1時間少しで底を尽きます。この数字こそ、電池を何本持って出るかを写真の航続距離より強く左右します。

一眼レフが省電力な理由

一眼レフの消費構造は「パルス型」です。構図は光学ファインダーで得るため、このとき主センサーには通電せず、測光と測距のモジュールだけが低消費電力で働きます。シャッターを切った瞬間にセンサーへ通電して露光し、その直後に再び電源を落とします。一連の流れのなかで、もっとも電力を食う部分が働くのは1秒にも満たない期間だけです。

一眼レフの航続距離が撮影のテンポに強く左右されるのはこのためです。光を待ちながら1枚ずつゆっくり撮れば、1本で2〜3日もつことも珍しくありません。連写を回し、こまめに再生し、ライブビューで動画を撮れば、航続距離はすぐにミラーレス並みに落ちます。一眼レフの持ちが急に悪くなったら、電池を替える前に、最近ライブビューを使い始めたかを思い出してみたいところです。

もう一つの利点は、電源を切れば電力を使わないことです。1か月触らなければ、残量はほぼそのままです。ミラーレスは時計、Bluetoothの待機、ファームウェアのバックグラウンド処理があるため、長く置いておくだけでゆっくり減っていきます。

ミラーレスの電力はどこへ消えるか

ミラーレスには光学バイパスがなく、構図を見ること自体が電力を食う最大の要因です。Z6 IIとZ7 IIのEVFは明るさが高く、リフレッシュレートは60fps、機種によっては120fpsで、画面とファインダーが同時に待機しています。センサーは画像を読み出し続け、ボディ内5軸手ブレ補正の電磁機構も動き続けます。さらにデュアルプロセッサー、Wi-FiとBluetoothの待機が加わり、本体の基礎消費電力は一眼レフより一桁大きくなります。

見落とされがちな要因がほかにもいくつかあります。

  • EVFはLCDより電力を食う。画面を消してファインダーを使うほうが省電力だと思われがちですが、ミラーレスでは実際には逆になることが多く、とくに高リフレッシュレート設定で顕著です。省電力にしたいならEVFのリフレッシュレートを60fpsに落としてみるとよいでしょう。
  • ボディ内手ブレ補正が常時オン。手持ち撮影では働く必要がありますが、三脚に据えた後は切ればわずかに節約できます。幅は大きくありませんが。
  • 無線接続。SnapBridgeが常駐し、自動転送が働くと、気づかないうちに電力を消費し続けます。
  • 低温。氷点下ではリチウムイオンの活性が下がり、電圧の低下が早く電源断の保護を招きます。氷点下での検証の考え方はマイナス10度のバッテリーテストを参考にしてください。仕組みは電池の型番によらず共通です。

予備電池をどう組むか

  1. まず場面を積み、それから本数を出す。都市の街撮りで1日8千歩・300枚なら、Z6 IIはEN-EL15cが1本と予備1本で足ります。結婚式やイベントのように止められない現場は「3時間ごとに1本」で見積もります。
  2. 一眼レフユーザーは買いだめ不要。D850やD780に2本あれば、通常の一日撮影で2本目を使い切ることはめったにありません。予算はレンズや記録メディアに回したほうが得策です。
  3. ミラーレスユーザーは電池を足すより充電手段を優先する。30W以上のUSB PD対応モバイルバッテリーとC to Cケーブルが1組あれば、休憩の30分で相応の電量を補え、予備を2本増やすより軽くなります。
  4. 縦位置グリップは見えない予備電池室。MB-N11、MB-N12は電池を2本収め、航続距離がそのまま倍になり、撮影中に片方だけを差し替えることもできます。
  5. 古い電池はローテーションする。1本だけを使い、もう1本を放置すると、休ませたほうが自己放電と劣化で先に使えなくなります。2本を交代で使うほうが寿命が平均します。補充するときは7.0Vと明記され容量のはっきりした型番を選びたいところで、YO電池のような単一型番特化の製品は銘板の情報が整理されているのが通常です。

どの世代を買うべきかはEN-EL15のカテゴリーページを参照してください。ボディがZ8やZ6 IIなら、旧世代電池の機能制限も別途押さえておく価値があります。都市間や国をまたいで移動することが多いなら、航空機への持ち込み規則にも注意が必要です。電池を飛行機に持ち込めるかを確認してください。

よくある質問

私のD850はなぜ公式値より航続距離がかなり短いのですか?

まずライブビューを使っていないか、Wi-Fiアクセサリが点いていないか、レンズの手ブレ補正が常時オンになっていないかを確認してください。この3つはいずれも一眼レフをミラーレスに近い消費水準まで引き下げます。あわせて、電池を2年以上・数百サイクル使うと容量が15%-20%落ちるのは正常な劣化です。

ミラーレスで一日撮るには結局何本必要ですか?

Z6 II / Z7 IIで見積もると、静止画だけなら一日300〜500枚でEN-EL15cが2本あれば通常は足ります。途中で動画を撮ったり無線転送を使うなら3本、あるいはPD対応のモバイルバッテリーを1つ持つのが無難です。

EN-EL15cを一眼レフで使うと長持ちしますか?

長持ちします。容量が約2割多いためです。ただし一眼レフはもともと航続距離に余裕があり、伸びる絶対値は限られます。予備の記録メディアにお金を回すほうが費用対効果は高いでしょう。

長く使わない電池はどう保管しますか?

6割程度まで充電してから、涼しく乾燥した場所に置き、3〜6か月ごとに補充電します。満充電のまま、あるいは空のまま長期間置くと劣化が早まります。

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