結論から言うと、差の中心は容量で、放電特性の違いは副次的ですが、高負荷時と低温では増幅されます。キヤノン純正LP-E17は公称約1040mAh / 7.5Wh、YOの750mAhは独自3グレードの中で最も小さい区分で、容量だけを見れば純正のおよそ7割です。つまり両者の差の7割は「入る電気の量が少ない」ことに由来し、残りの3割が放電プラトー、内部抵抗、保護基板の設計に由来します。
この2層を分けて考える必要があるのは、それが「純正に高いお金を払うべきか」を左右するからです。単に長く使いたいだけなら、容量差は予備を1本追加することで補えます。極端な条件での安定性を重視するなら、そこが純正の強みになる領域です。
第一層:容量で、ここが大部分を占める
容量は最も分かりやすい差です。750対1040で、差は約290mAh、比率にして約28%になります。この差は軽い使い方では目立ちません。室内で数十枚撮る程度ならどちらでも足ります。しかし連続した野外撮影、連写、短い動画といった「総消費量が多い」場面では、28%がそのまま「30分早く交換する」に置き換わります。
ここで注意したいのは、公称容量と実際に使える容量は同じではないという点です。メーカーの表示は標準条件下での電芯の放電容量で、ボディが実際にどこまで使えるかはカットオフ電圧の設定と保護基板の遮断点にも左右されます。したがって公称値で精密な換算をするのは不確実で、桁感の比較にとどめるのが適切です。
よくある誤解もここで整理しておきます。キヤノン純正の型番はLP-E17のみで、公式の「LP-E17H」は存在しません。市場で見かけるLP-E17Hは、一部のサードパーティが自社の高容量版に付けた商品名がほとんどで、メーカーの型番ではなく販売上の呼称です。選ぶときは公称容量と電芯の供給元を確認し、この接尾辞を純正の証明と受け取らないでください。
第二層:放電プラトーと内部抵抗
同じ7.2V表記のバッテリーでも、放電中の電圧カーブは完全には重なりません。容量の大きい電芯は、同じ負荷電流に対して電圧の下がり方が緩やかで、ボディの動作範囲内により長く留まれます。容量の小さい電芯は、後半に入ると電圧の落ち込みが急になります。
内部抵抗の差は「瞬間的な大電流」で現れます。AFモーターの起動、連写時のミラーとシャッターの動作、動画撮影時の継続的な書き込みは、いずれもパルス状の負荷です。内部抵抗の高いバッテリーはこの瞬間の電圧降下が大きく、ボディの電源管理が早めに低残量と判断することがあります。一部のバッテリーが「残量はあるのに、連写をすると電池切れ表示になる」のはこのためです。
この層の差は日常撮影ではほとんど気づかれませんが、2つの条件で明確になります。低温のとき、そして残量が3割を切ったときです。冬の屋外撮影では、750mAhを体に近い場所に置き、使うときにボディへ入れて、体温で放電能力を保つようにしてください。
第三層:保護基板と個体差
| 比較項目 | 純正LP-E17 | YO 750mAh |
|---|---|---|
| 公称容量 | 約1040mAh | 750mAh |
| 公称エネルギー | 約7.5Wh | 7.2V換算で約5.4Wh |
| 放電プラトー | 高負荷時の電圧降下が小さい | 後半の落ち込みがやや急 |
| 保護機能 | 過充電、過放電、過電流 | 同様に備える。具体的なしきい値はメーカー表示による |
| 電芯の一致性 | ロット管理が厳しく、個体差が小さい | 正規ブランドでも選別はあるが、個体差はやや大きい |
| 価格 | 高め | 100元未満が中心で、明確に安い |
保護基板の項目は見落とされがちです。役割は過充電、過放電、短絡の防止で、しきい値が保守的なバッテリーは早めに電源を切るため、容量が小さいように見えます。逆に攻めた設定では電芯を深くまで使うことができ、短期的な容量は良く見えますが、長期的な寿命に影響します。この部分に統一規格はなく、メーカーの仕様表示に従うほかありません。
一致性とは、同じロットの中で個体ごとの挙動がどれだけ揃っているかです。純正はロット管理が厳しく個体差が小さい傾向があります。サードパーティでも選別をしっかり行うブランドはありますが、差は一般にやや大きくなります。一般ユーザーにとっては、「手元の1本」と「レビューの1本」が完全には一致しない、という形で現れます。
ではどう選ぶか
ブランドで分けるより、用途で分けるほうが実際的です。日常撮影、予備の補填、軽装の外出なら750mAhで十分で、価格の利点は明確です。予備を1本増やせば容量差は取り戻せます。長時間の連続作業、低温下での撮影、やり直しのきかない撮影が中心なら、純正か、より大容量のグレードのほうが値打ちがあります。
このグレードの位置づけは「気軽に何本でも追加できる価格」です。バッグに常に2本入れておく使い方なら、純正1本分の予算で750mAhを2〜3本そろえたほうが、使える総容量は大きくなります。さらに余裕を広げたい場合は950mAh版を、3グレードを並べて比べたい場合は容量と対応のガイドをご覧ください。
よくある質問
750mAhは容量表示が甘いのですか?なぜ純正よりこんなに少ないのですか?
表示が甘いわけではありません。750mAhはグレード体系の中のひとつの容量区分で、キヤノン純正の1040mAhとはそもそも仕様の異なる製品です。「同じだけ入るはず」という前提がありません。判断すべきは、実際の放電容量が公称値に近いかどうかで、別の型番と比べることではありません。
混ぜて使うとボディに影響しますか?
ありません。ボディは電圧と通信でバッテリーを識別し、容量では区別しません。純正と750mAhを交互に使うのは一般的な方法です。1本ずつ充電し、「並列」で使おうとしないことだけ注意してください。
古いバッテリーが連写で突然低残量になるのはなぜですか?
内部抵抗の上昇による典型的な症状です。連写はパルス状の大電流負荷で、内部抵抗の高いバッテリーは瞬間的な電圧降下が大きく、ボディが電圧不足と判断して低残量を表示します。シャッターを離すと電圧が戻り、再び残量ありと表示されます。こうしたバッテリーは重要な撮影には向きませんが、静止画中心ならまだ使えます。
LP-E17Hはキヤノンの高容量版ですか?
違います。キヤノン純正の型番はLP-E17のみで、LP-E17Hはありません。この接尾辞は一部のサードパーティが自社の高容量版に付けた呼称で、選ぶときは公称容量と電芯の供給元を見るほうが確実です。