結論から言うと、750mAhの予備を何本持つかは「1日のうち充電できない時間がどれだけあるか」で決まり、撮影枚数では決まりません。街撮りや半日の野外撮影なら2本、終日旅行なら1.5日ごとに1本、長時間の待機やインターバル撮影ならさらに1本を足すのが目安です。待機中の消費電力は設定の影響を大きく受け、容量だけが変数ではないからです。これを下回ると、シャッターを切りたいまさにその瞬間に残量を気にし始めることになります。
750mAhの容量は純正LP-E17(1040mAh)のおよそ7割で、どちらかといえば「区間ごとに使う」用途に向いています。予備の組み立て方の要点は、1日をいくつかの交換可能な単位に区切ることです。
まず1本750mAhの「実効時間」を把握する
実効時間は待機時間とは別物です。電源を入れたままの待機では電流が小さく、750mAhでも1〜2日はもちます。しかしファインダーを覗き、AFを合わせ、連写を始めた途端に消費は急増します。そこで下の表は「外出している時間」ではなく「実際に撮影している時間」で見積もっています。
| シーン | 750mAh 1本の目安 | 持参の目安 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 街撮り・半日の野外撮影 | 実撮影で約2〜3時間 | 2本 | 本体1本に予備1本で、終盤も余裕が残る |
| 終日旅行 | 約半日 | 1.5日ごとに1本、最低2本 | ホテルや飲食店での充電機会から逆算する |
| 静物・スタジオ撮影 | 約3〜4時間 | 2本 | コンセントがあり、1本を充電しながら1本を使う |
| 長時間待機・インターバル撮影 | 約6〜10時間 | 2〜3本 | モニター、Wi-Fi、インターバル設定の影響が大きい |
| 動画・タイムラプス | 約40〜70分 | 3本以上 | 定電力放電のため、750mAhを主力には向かない |
表の時間はおおよその目安で、実際はボディ、レンズ、気温によって変わります。フルサイズ機(EOS RP、R8など)はAPS-C機(R50、R100など)より消費が多く、同じバッテリーでも稼働時間に3割以上の差が出ることがあります。
街撮り:2本から始め、半日を1単位にする
街撮りは歩いて止まっての繰り返しで、電源が入っている時間が長いわりに撮影枚数は伸びません。この使い方が最も過小評価されやすく、200枚しか撮っていないつもりでも、カメラは3時間バッグの中で待機していた、ということが起きます。750mAhを2本というのは心地よい構成で、1本はボディに、もう1本はポケットに入れておけば、重さはほとんど気になりません。
丸一日歩き続ける場合は、メインを950mAhの主力グレードに置き換え、750mAhは最後の保険とするのがおすすめです。容量が足りないからではなく、街撮りでは交換のために立ち止まる機会が少なく、交換が一瞬の逃しにつながりやすいからです。
旅行:日数と充電機会から逆算する
旅行の本数は「総日数 ÷ 1.5」を切り上げ、確実に充電できる夜を差し引いて考えます。たとえば5日間の行程で毎晩ホテルで充電できるなら、750mAh 2本と2口の充電器で足ります。2泊3日の山歩きで途中にコンセントがなければ4本以上が必要になり、1050mAhの長時間グレードに切り替えたほうが現実的です。
見落とされがちなのが、ホテルのコンセントの数です。予備バッテリーを1本増やすより、2口の専用充電器を1台持つほうが解決することが多いものです。充電器の選び方はLP-E17バッテリー総合ガイドの充電関連記事で扱っています。充電仕様は3グレードで共通です。
長時間待機とインターバル撮影:容量だけが変数ではない
インターバル撮影、星の軌跡、監視用途のような長時間待機では、消費の主因はシャッター回数ではなく、モニターの常時点灯、Wi-Fi転送、AFの周期的な起動にあります。画面の輝度を下げ、無線を切り、オートパワーオフを短くするほうが、バッテリーを1本増やすより効くことが少なくありません。
- 出発前にオートパワーオフを「切」ではなく30秒か1分に設定する。
- Wi-FiとBluetoothを切り、転送が必要なときだけオンにする。
- 不要なレンズ内手ブレ補正を切る。三脚を使う場面では特に効果が大きい。
- 低温環境では予備バッテリーを体に近い場所に置き、使う直前にボディへ入れる。
- 各バッテリーに印を付け、「満充電/使用済み」で袋を分けておく。現場で何度も入れ替えて試さずに済む。
よくある質問
予備バッテリーを長期間使わないと容量は減りますか?
リチウムイオン電池は満充電のまま長期保管すると劣化が進みます。予備は5割程度まで充電してから保管し、3〜4か月ごとに補充電して、完全に放電したままにしないようにしてください。
750mAhの予備はメインと同じ容量である必要がありますか?
必要ありません。同じ規格であれば混用できます。ただし容量の大きいほうを主要な撮影区間に充ててください。交換のタイミングは撮影の中盤に来ることが多く、そこで2度目の交換をしたくないからです。
750mAh 2本で1日の旅行は足りますか?
充電機会があるかどうかで変わります。毎晩ホテルで充電できるなら2本で足りますが、2日続けてコンセントがない場合は足りない可能性が高く、フルサイズ機では特に厳しくなります。その場合は1050mAhに切り替えるか、予備を1本追加してください。
予備をカメラバッグに入れておくのは安全ですか?
2点に注意してください。ひとつは端子を鍵や硬貨などの金属に触れさせないこと。純正の箱かバッテリーケースに入れて単独で保管するのが確実です。もうひとつは夏の車内などの高温を避けることです。長期の高温は、深放電よりもサイクル寿命に大きく影響します。