結論から言うと、1本だけなら両者に大きな差はありません。ソニーBC-QZ1は公称でおよそ2時間半の水準、DR-FZ100の1スロットも約2.5〜4時間です。ところが2本になると差がはっきり出ます。BC-QZ1は順番待ちで総所要時間が2倍の5時間以上になるのに対し、DR-FZ100は2つのスロットが同時に動き、約3〜5時間で両方が満充電になります。節約できる時間は、およそ電池1本分の充電時間に相当します。本数が増えるほど、この差は広がります。以下で時間の計算を整理し、そのために2スロットケースが払っている代償も説明します。
まず時間の計算を整理する
1スロットの充電器の本質は直列です。1本を充電し終えてから、次の1本が始まります。2スロットケースの本質は並列で、2本が同時に始まり、それぞれ終わります。したがって両者の差は固定の分数ではなく、本数に比例して広がります。
| 電池の本数 | BC-QZ1 1スロット(直列) | DR-FZ100 2スロット(並列) | おおよその差 |
|---|---|---|---|
| 1本 | 約2.5〜3時間 | 約2.5〜4時間 | ほぼ同等 |
| 2本 | 約5〜6時間 | 約3〜5時間 | 2時間前後の短縮 |
| 4本 | 約10〜12時間 | 2回に分けて約6〜9時間 | 3〜4時間の短縮 |
2行目と3行目の細部に注意してください。2本を同時に充電すると入力電力が2つのスロットに分配されるため、1本あたりの速度は単独充電よりやや落ちます。そのため総時間は「1本分の時間」に厳密に等しくなるわけではなく、通常は30分から1時間ほど長くなります。これは並列充電に固有の代償で、2スロットの製品ならどれでも同じです。
1本のときにかえって劣る理由
1日に1本しか使わないのであれば、2スロットケースに出番はありません。電力を1つのスロットに集中させたときの挙動は一般的な充電器と本質的に変わらず、筐体がより密閉的で放熱の経路が長いぶん、開放型の充電器よりわずかに遅くなることさえあります。その場合は1スロットの充電器を選ぶか、電池本体のType-Cポートから直接充電するほうが合理的です。
2スロットケースの価値は2本目から生まれます。2本以上を毎日空にしては充電し直すという使い方をする人が、本来の対象です。判断は簡単です。電池が2本以上あり、夜にまとめて充電することが多いなら、節約できるのは実質的に2時間の睡眠です。
時間以外の4つの違い
給電方式:コンセントとUSBの違い
BC-QZ1は交流電源で動くため、コンセントが必要です。外出時には小さくないACアダプターを持って行くことになります。DR-FZ100はUSB入力なので、スマートフォン用の充電器、ノートPCのUSBポート、カー充電器、大容量モバイルバッテリーまで使えます。つまりコンセントのない場所、車内、屋外、仮設の休憩スペースでも動かせるということです。
大きさと持ち運び
充電器とアダプターは2つの物品で、ケーブルも散らかりがちです。2スロットケースは一体構造で、蓋を閉じればそのまま収納ケースになり、電池を入れたまま持ち運べます。撮影場所を頻繁に変える人にとって、部品が1つ減ることは、ケーブルを探す時間が1回減ることでもあります。
収納が統合されている
ここは軽視されがちです。1スロットの充電器は充電しかしないので、充電が終わった電池は別の場所に置く必要があります。2スロットケースは充電位置と収納位置を同じ空間にしており、撮影後にしまって蓋を閉じ、バッグに入れれば、翌日開けたときには満充電です。手順が3つから1つになります。
コストの構造が違う
純正の充電器は単体で販売される付属品で、価格は安くありません。2スロットケースは代替案という位置づけで、総支出は明らかに低くなります。2本以上の電池をそろえる人にとっては、金額だけでなく「充電器を持ったか」を何度も確認する注意力も節約できます。
それでも1スロットを選ぶべき場合
3つあります。1つは1本で一日を回す軽装優先の使い方。2つ目はすでに純正充電器があり、順番待ちを気にしない場合で、追加でケースを買うのは二重投資になります。3つ目は純正電池を充電する必要があり、充電カーブに厳密な想定を置く場合です。純正アクセサリーの整合性は、やはり一段安定しています。
逆に、2スロットケースを検討すべき人は2通りです。2台体制や複数台での撮影で、毎日大量の素材を出し、翌朝には満充電で臨む必要がある人。そして外出が多く、宿の条件が定まらずコンセントの数も限られる人。後者の困りごとは時間ではなくコンセントです。USBポート1つで電池2本とスマートフォン1台を同時にまかなえるのは、1スロットの充電器にはできません。
直充電できる電池と組み合わせると自由度が上がる
電池自体がType-Cポートを持つTNP-FZ100であれば、充電の経路は3つになります。夜にケースでまとめて充電する、ボディ内で充電する、1本だけ取り出してモバイルバッテリーにつなぐ。3つの経路が互いの予備になるので、どれか1つが使えなくても翌日に響きません。
2スロットケースと直充電電池が一緒にすすめられるのは、同じ問題の両端を担っているからです。ケースはまとめて処理する役、直充電は機動を担う役です。製品の細部は2スロット充電ケースの特集をご覧ください。
よくある質問
2スロットで2本充電すると、1スロットで1本よりどれだけ遅いですか?
通常は30分から1時間ほど遅くなります。入力電力が2つのスロットで分担され、1本あたりに配分される電流が下がるためです。出力電流の大きいUSB電源を使えば、この差は縮まります。
充電器とケースを併用してもいいですか?
問題ありません。互いに影響しません。純正充電器は自宅の定位置に置き、ケースはバッグに入れて持ち歩き、外出先ではケース、帰宅後はコンセントという使い分けをすれば、両方の利点を受け取れます。
2スロットのほうが電池に負担がかかりますか?
かかりません。並列充電は総電力を分けているだけで、1本あたりが受ける電流はむしろ小さくなり、セルにはやさしい条件になります。寿命に影響するのは高温と満充電での長期保管で、スロットの数とは関係ありません。
4本をいちばん短時間で終わらせるには?
夜にまず2本を入れ、満充電になったら残りの2本に替えます。2回目は就寝前に終わることが多く、翌朝には4本とも満充電です。残り時間が3〜4時間しかない場合は、翌日に最初に使う2本を優先してください。